山本尚利
1.米国民からの敵視に怯えるロックフェラーの末裔
2008年7月7日より3日間、G8洞爺湖サミットが開催されます。その前日の7月6日のマスコミは当然ながら洞爺湖サミットでの議題(環境、石油、食糧問題)を取り上げています。その中で同日の朝日新聞はコッソリと「ロックフェラー家の危機感」(立野純一NY特派員)を取り上げています。今年5月末に開かれたエクソンモービル(事実上、デビッド・ロックフェラー、ジョン・ロックフェラー3世の五男の所有)株主総会でひと騒動がありました。同社の創業者ジョン・ロックフェラー1世の末裔一族がエクソン経営陣に脱石油時代に向けた技
術投資を行うよう要求(利益を国民に還元しろという要求)したからです。彼らは米国民の怒りの矛先が自分たちに向けられるのではないかと怯えているのでしょう。原油高騰で大もうけしているのはデビッド一派であって、ほかのロックフェラー末裔がもうけているわけではありません。軍事・エネルギー系米国覇権主義者(戦争屋)のボス、デビッド・ロックフェラーと、その甥、ジェイ・ロックフェラー(国際金融資本系米国覇権主義者、すなわち銀行屋のボスで、正式にはジョン・ロックフェラー4世)が米国覇権をめぐって厳しく対立しているのは事実です。この二人の対立(ロックフェラー家のお家騒動)が現在の米国経済の大混乱の震源であるのも事実です。このことは知的な米国民の間では暗黙の常識でしょう。昨今の原油高騰の恩恵により、エクソンモービルは2007年度決算で4兆円を超える純利益を計上していますが、史上空前の大もうけしているわりには、石油資源開発投資、石油精製設備投資、代替エネルギー開発投資に消極的です。しかもこの大もうけは、高いガソリンを買わされる国民の犠牲の上でもたらされています。周知のように共和党政権は伝統的に軍事・エネルギー業界(エクソンを含む)をスポンサーにしています。ブッシュ政権は過剰反応的にスポンサーの期待に応えたわけです。
2001年、ブッシュ政権誕生とともに、米国連邦政府の国家技術戦略は大きく転換されています(注1)。元副大統領アル・ゴアの主導した環境投資を大幅縮小、国家研究開発費をクリントン時代の1.5倍に増額させて先端的軍事技術(諜報技術、生物化学兵器含む)のほか、原子力発電技術、石炭液化・ガス化(クリーンコール)技術の研究開発に重点投資しています。ちなみに、財政破綻しているに等しいブッシュ政権の国家研究開発予算には小泉政権の集中購入した100兆円を超える米国債の資金(日本に返済されない可能性が大)の一部が当てられています。つまりわれわれ日本国民の預貯金(米国債購入の資金源)が実質的に使われています。上記、ロックフェラー末裔の要求(脱石油時代に向けた技術投資)はエクソンではなく、ちゃっかり日本国民の預貯金で賄われていたのです。彼ら米国覇権主義者の常套手段、それは自腹を痛めず「他人のふんどしで相撲を取ること」です。これらの事実から、今日の原油高騰シナリオはブッシュ政権を支配する米国覇権主義者(主にデビッド一派)によって20世紀中にすでに描かれていたと筆者は確信しています。
2.デビッド・ロックフェラーにとって、うまく行き過ぎたブッシュ政権
マスコミのみならずネット上でも、サブプライムローン焦げ付き問題をみて、米国覇権の衰退(ドル覇権の弱体と多極化時代の到来)が指摘されています。しかしながら筆者の見方はまったく異なります。ブッシュ政権を担ぎ出した勢力(中心はデビッド一派)はクリントン政権時代から、中長期シナリオを開発しており、ブッシュ政権はそのシナリオに沿って誕生し、政権獲得後、そのシナリオを忠実に実行し、所期の成果を挙げたという見方です。ブッシュ政権には、非常に困難なシナリオを成功させる知能をもった有能な人材(天才的な悪知恵の持ち主)が配置されています。彼らが20世紀末に描いたシナリオとは、まず9.11事件(中東戦争の起爆剤)を起こして、テロとの戦いを大義名分に中東の反米大国イラクとイランを先制攻撃し、自分たちの所有する軍事産業を潤わせると同時に、イラク、イランに彼らの傀儡政権を樹立して、中東石油利権を奪還するというものです。その際、中東石油の供給不足および中国、インドなどの石油需要増から21世紀の原油高騰は不可避とみなしていたわけです。それに備えて、2001年以降、彼らは用意周到に原子力発電とクリーンコールの技術投資を強化していたのです。彼らのシナリオでは、遅くとも2006年までにイランを先制攻撃するはずだったのが、2008年7月現在、まだ実現できていません。この点のみが彼らの誤算なのです。なおイラクの混乱の長期化は、もともと本命の攻略ターゲットであるイラン先制攻撃に必須の条件(イラク混乱を名目に増員したイラク駐留兵力を速やかにイラン先制攻撃に転用するため)だったので、すべて意図的に計画されたものであると思います。したがってイラクの長期混乱・泥沼化をもってブッシュ政権がイラク戦争に失敗したとみるのは早計でしょう。にもかかわらず、2006年6月の世界的寡頭勢力(ロスチャイルド財閥、ロックフェラー財閥を含む)の秘密会議ビルダーバーグ会議(毎年、G8サミットの前に開催される)でブッシュ政権の企むイラン先制攻撃を反対されたこと(注1)が、ブッシュ政権のイラン先制攻撃シナリオを狂わせたのです。
おそらく、EU支配のロスチャイルド財閥とアンチ・デビッドのジェイ・ロックフェラー(オバマ支持の民主党上院議員)の意思が強く働いたものと推察されます。にもかかわらず、ブッシュ政権は、当初のシナリオ通り軍事産業を潤し、期待以上の石油高騰を実現したので、デビッド一派にとって、ブッシュ政権支援の費用対効果は十分に採算がとれたわけです。彼らにとって原油高騰の短期的マイナスは、派生的に石油産出国ロシアにも恩恵のおこぼれが回ること、そして反米石油産出国イランにも同様の恩恵が回ることです。しかしながら中長期的には決してマイナスではありません。なぜなら石油で潤うロシア(仮想敵国)の軍事的脅威が再び高まり、また敵国イランの軍事的脅威もさらに高まるので、彼ら戦争屋にとって米国軍事産業強化の正当化に新たな口実ができるわけです。ちなみに民主主義国の戦争屋の戦略とは、敵をいかに攻略するかと同時に、敵の脅威をいかに高めるかという相矛盾する二律背反の側面を常にもっています。民主主義国では敵の脅威が下がれば、防衛予算が減額されるからです。
3.原油高騰の派生効果、人口削減計画の始動
さてブッシュ政権を支配するデビッド一派のうれしい誤算、それは予定された120ドル/バレル(GBNのピーター・シュワルツの設定シナリオ)を大きく超える原油高騰(2008年7月140ドル突破)が実現したことです。デビッド一派にとってブッシュ政権操作はうまく行き過ぎたのです。ブッシュ政権のもたらした原油高騰の派生効果は計り知れません。原油高騰に伴って予定通り世界的に食糧高騰が発生し、世界的寡頭勢力が長期的視野で密かに企んでいる人口削減計画のアジェンダ始動が目前となっています。世界の貧困国から順番に食糧不足に陥って、人口減少が起きるでしょう。今、世界は彼らの本音の狙い通りに推移しています。その意味でキレイゴトに終始する偽善的G8洞爺湖サミットは、彼らの本音をカムフラージュするのにもってこいのイベント(目くらまし)に過ぎません。このミエミエの茶番劇も、世界規模での多様なネット情報の提供によって、世界のネットナビゲーターからは、当の昔に見透かされています。
G8洞爺湖サミットを得意気に報道する日本のマスコミが滑稽にみえます。だからこそ、ウラ事情を知る朝日新聞NY支局のマトモなジャーナリストが、あえてG8サミット前夜、米国の帝王ロックフェラー財閥の話題をさりげなく掲載したのでしょう。その狙いに読者のどれほどが感づくのでしょうか。
さて傲岸不遜の極致、デビッド一派の思わぬ誤算、それはイラン先制攻撃の遅れに加えて、ネット世論の強大化です。9.11事件が自作自演(Inside Job)ではないかという見方がネット世代を中心に米国民の常識(2006年のCNN調査によれば米国民の75%が9.11事件は政府の自作自演ではないかと疑っている)となっています。米国民はブッシュ政権になってガソリン価格が4倍に暴騰した根本原因に気づき始めています。寡頭勢力に牛耳られるマスコミや証券会社のエコノミストは石油高騰理由についていろいろ詭弁を弄していますが、賢明な米国民も少なくないのでもうだまされないでしょう。デビッド一派への恨み(「一将功成りて万骨枯る」に対する恨み)は日に日に募っています。デビッド一派(戦争屋)は大もうけできたものの、米国の国富が偏り過ぎて、結局、米国の国民経済がガタガタになってきたのです。「過ぎたるは及ばざるが如し」とはこのことです。それをみて、デビッド一派のおこぼれにすらあずかれない他のロックフェラー一族はとんだトッバチリだと怒ったのです。上記、エクソンモービルの株主総会の騒動の根本原因は、米国民の恨みがデビッドのみならず、ロックフェラー一族全体に向けられるのではないかという危機感の表れです。
4.米国民の9.11真実解明要求にこたえて、ブッシュを生け贄にする計画が進行か
9.11事件に関する多数のネット情報から推測して、2008年末、ブッシュ大統領の任期満了の引退とともに、ポスト・ブッシュの次期政権の下、米国民の9.11事件の真実解明の要求が爆発する可能性が高いと思います。9.11事件の直接の犠牲者が3千人、発ガン物質の被害による救助隊員など二次犠牲者が千人規模といわれており、ただでは済まされません。2007年秋、ブッシュ大統領の暗殺を
予告するような不気味で悪趣味の映画がすでに封切られています(注3)。ブッシュ大統領はデビッド一派の傀儡(パペット)に過ぎないわけですが、いざとなったら、彼に一切の罪を押し付けようとするシナリオが描かれているかもしれません。しかしマスメディアによるマインドコントロールという彼らのいつもの手口もすでに色あせています。現代のインターネット社会は60年代のケネディ暗殺時代とは違います。米国の知的ネット世代は今度こそはだまされないでしょう。
(やまもと・ひさとし)
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注1:拙著『日米技術覇権戦争』光文社、2003年
注2:ベンチャー革命No.200『北朝鮮ミサイル:日本国民をもてあそぶ玩具』2006年7月5日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr200.htm
注3:ベンチャー革命No.246『英国映画「大統領暗殺」の黙示』2007年10月17日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr246.htm
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